榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

チンパンジーに関する知識を一気に更新できる一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1576)】

【amazon 『新しいチンパンジー学』 カスタマーレビュー 2019年8月11日】 情熱的読書人間のないしょ話(1576)

魚類の専門家・北川哲郎氏の説明を聞きながら、千葉の柏・流山・野田を流れる利根運河に棲息する魚たち、カメたちを観察することができました。コイ科のコイ、ギンブナ、ゲンゴロウブナ、オイカワ、カマツカ、ニゴイ、スゴモロコ、タモロコ、ツチフキ、モツゴ、タイリクバラタナゴ、ワタカ、ハゼ科のマハゼ、ジュズカケハゼ、トウヨシノボリ、ハゼ類のドンコ、クサガメの雄、雌、ミシシッピアカミミガメ、ヌマガメ科の一種といった面々です。野田の江川地区の田んぼで、ニホンイタチ、オニヤンマと遭遇したが、残念ながら撮影できず。因みに、本日の歩数は10,710でした。

閑話休題、『新しいチンパンジー学――わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』(クレイグ・スタンフォード著、的場知之訳、青土社)によって、ここ20年間で野生チンパンジー研究が格段に進んでいることを知りました。

200頭近くから成る巨大な集団、ゴリラと共存する集団、メスも狩りをする集団、蜂蜜採集のために5つもの道具を組み合わせて使用する集団――の発見が相次いでいるというのです。こうした多様性は、チンパンジーという種を固定的に捉えてはいけないということでしょう。

「訳者あとがき」に、こういう一節があります。「それぞれの拠点で数十年にわたって定点観察がおこなわれたことで、ヒトには及ばないもののかなり長生きな、チンパンジーの寿命や子孫の数といったデータが定量的に分析できるようになったほか、新たな道具使用の発明と伝播、養子取りといった、まれな現象も詳細にわたって記録されたことも見逃せません。要するに、研究がぐっと厚みを増したのです」。

「もうひとつは、新たなデクノロジーによって、これまで不可能だった分析が可能になったことです。なかでも、DNA解析技術の発展により、正確な父性判定や系統分岐の年代推定がおこなわれるようになって、多くの定説が覆されました。例えば、オスどうしの血縁度が、多くのコミュニティで意外なほど低いことや、現在認められている亜種間の遺伝的距離がかなり近いことなどです。また、DNA解析の他にも、性ホルモンやストレスホルモンの変動を記録したり、同位体比から食性を推定するといった手法も、チンパンジー研究に限らず、現代の動物生態学にはなくてはならないものになりました。分野がさらに学際性を増し、アイディアとテクノロジーの組み合わせ次第で、まったく新しいタイプの研究ができるようになったと言ってもいいかもしれません」。

おかげで、チンパンジーに関する知識を一気に更新することができました。