榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

我が家ではアメリカ産牛肉を一切食べない理由・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1853)】

【amazon 『もう牛を食べても安心か』 カスタマーレビュー 2020年5月10日】 情熱的読書人間のないしょ話(1853)

ベニシジミの雌、アオヒメハナムグリをカメラに収めました。スイレン(白色)、カキツバタ(紫色)の花が咲いています。黄色いジャーマン・アイリスの写真を撮っていたら、庭いじりをしている男性が切り取って女房に持たせてくれました。我が家では、桃色のボンザ・マーガレットが見頃を迎えています。

閑話休題、我が家では、牛肉は専らオーストラリア産を購入しています。必要に応じて国産牛肉を購入することはあるが、アメリカ産牛肉は一切買わず、食べません。2001年のBSE(狂牛病、牛海綿状脳症)問題発生を受けて、アメリカからの輸入牛肉に全頭検査が実施されるようになったものの、2005年に全頭検査が実施されなくなったことを受けて、購入中止を決めたのです。

私のこの態度は理に適っているのか否かを確認したくて、『もう牛を食べても安心か』(福岡伸一著、文春新書)を手にしました。

本書では、●クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、狂牛病、スクレイピーは、いずれも同じ病気で、伝達性海綿状脳症が異なる動物種で発生していること、●家畜の廃物となった内臓、くず肉や、怪我、事故、病気などで死んだ家畜の死体を廃物利用した肉骨粉を原料とする家畜用タンパク質飼料がBSEを引き起こしたこと、●1982年にスタンリー・プルシナーが提唱し、1997年にノーベル賞を獲得した「プリオン説」は、BSEの病原体は異常型プリオンタンパク質だと主張しているが、最も有力な説とはいえ、まだ仮説の段階に止まっていること、●アメリカの政治的圧力に屈して、日本がアメリカからの輸入肉の全頭検査廃止に移行するのは危険であること――が記されています。なお、本書は2004年に出版されているが、2005年に全頭検査が廃止されています。

従って、アメリカ産牛肉を食べないという私の決断は間違っていなかったのだが、ここで、きっと、私への反論が提出されることでしょう。

第1の反論「現に多くの人々がアメリカ産牛肉を食べているのに、BESが大量発生していないのはなぜか」には、こう答えます。本書に書かれているように、「(BSEの)発症数は極めて少ないとはいえ、100万人に1人の割合で出現する。人口が約1億人の日本では、年間に100人規模の患者が発生する率であり、現に毎年その程度の出現が一定して確認される」のです。しかしながら、私はクロイツフェルト・ヤコブ病様の症状が発現してから短期間で死亡してしまった事例を知っているが、その原因をアメリカ産牛肉に結び付けて考える人は少ないのです。

第2の反論「国産牛はともかく、オーストラリアからの輸入牛肉は大丈夫なのか」には、本書はオーストラリア産牛肉には触れていないが、私が代わって答えましょう。オーストラリアにとって、各国への輸出がメインの牛肉産業は国家の最重要産業であるため、国家レヴェルで厳格な安全基準が実施されており、オーストラリアではBSEはこれまで1例も発生していません。

我が家では、これからもオーストラリア産牛肉を食べ続けることを宣言します。