榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

あなたは、宝物「トレジャーDNA」、「ヒーローDNA」の持ち主かもしれない・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2063)】

【読書クラブ 本好きですか? 2020年12月7日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2063)

今シーズン初めて、アオジの雌(写真1~3)、メジロ(写真4~6)を観察することができました。20羽ほどのオナガ(写真7~15)の群れに出くわしました。因みに、本日の歩数は12,740でした。

閑話休題、『遺伝子――NHKスペシャル人体Ⅱ』(NHKスペシャル「人体」取材班編、医学書院)には、3つの注目すべきトピックが記されています。

第1は、「あなたの中の宝物“トレジャーDNA”」です。

「インドネシアの海の上で暮らすバジャウは驚異的な潜水能力を持ち、南米アンデスで、湧き出す水に猛毒のヒ素が高濃度に含まれている地域では、人びとがヒ素の解毒能力をもっている。こうしたことを可能にするのは、彼らがもつゲノム配列のほんのわずかな違いである。陸に上がらず海の上で暮らすといった特殊な環境下において、特定のDNAが自然選択により広がったと考えられている」。バジャウの人びとは、何と10分以上も、水深60mを超えて素潜りすることができるというのです。彼らは、陸上生活者の脾臓の1.5倍も大きい脾臓を持っているのです。彼らは、脾臓の大きさと相関するSNP(一塩基多型)を持っていることが分かっています。

第2は、「あなたも“ヒーローDNA”の持ち主かもしれない」です。

「新型コロナウイルス感染症の謎の一つが、人口あたりの感染者数や死者数に、大きな地域差や民族差があることだ。感染しても多くの人が軽症や無症状で済むのに対し、一部の人では重症化が一気に進み死に至る。こうした人による重症度の違いに関しては、宿主である人間のゲノムの多様性が一因ではないかと考えられる。つまり、ウイルスに暴露しても、生まれながらにして感染しにくい人や感染しても重症化しにくい人がいる可能性があるのだ。ほかの感染症でも、その人がもつDNAによって、マラリアに感染しても重症化しにくい人やHIVに暴露しても感染しない人がいることが知られている。そう考えると、新型コロナウイルスに対する感受性も、DNAによって生じている可能性は十分にある」。100歳を超える人たちが長生きできる理由も、彼らが老化を起こしにくいゲノムの変異を持っているからだというのです。

第3は、「“DNAスイッチ”が運命を変える」です。

「スペインのベルヴィジ生物医学研究所のマネル・エステラー博士は、こう言いました。『私たちは赤ちゃんから大人になるまでどんどん変化していきますが、もって生まれた遺伝子そのものは変化しません。では、いったい何が違いをもたらすのか。その謎の正体こそがエピジェネティクス、すなわち、遺伝子のはたらきをスイッチのようにオンにしたりオフにしたりするしむみであることがわかってきたのです。だからエピジェネティクスは、まさに<運命>を変えるしくみであり、人間を人間たらしめている根源的なしくみなのです』」。