榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

娘たちを謀略の具にする宇喜多直家の四女が、父に逆らってやったこと・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2115)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年1月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2115)

ジョウビタキの雄(写真1、2)、アオジの雄(写真3、4)、エナガ(写真5、6)、メジロ(写真7、8)をカメラに収めました。

閑話休題、短篇集『宇喜多の捨て嫁』(木下昌輝著、文春文庫)に収められている『宇喜多の捨て嫁』は、歴史小説として最高に楽しめる作品に仕上がっています。

「(備前半国の主・宇喜多直家の四女、数えで十七歳の)於葉(およう)が、(父の下剋上の謀略の犠牲となって)自害した母の富や姉の初、気がふれた楓のようにならない保証はない。宇喜多家にとって嫁入りとは。殉死に等しい行為なのだ。・・・身を穢し生計をたてる老婆と姦雄の娘として蔑まれる自分、一体どちらの生き様がよりましであろうかと考えた」。

「宇喜多直家は、生死のやりとりをする謀略にこそ楽しみを見出す。家族よりも殺し合いを愛する男だ。・・・宇喜多直家にとって於葉の(後藤勝基への)輿入れは友好のためではなく、敵を油断させるための謀略であるという意味を濃く滲ませている。最初から娘の命など塵芥ほども思慮の中にいれていない」。

「父上と戦います。後藤家の妻として、最後まで戦い、そして勝ちます」と、父に宣言して、後藤家に嫁入りした於葉のその後が描かれていきます。

思いがけないどんでん返し、またどんでん返し、さらにどんでん返し、最後の最後に至ってまたまたどんでん返しと、息をつく間もありません。