榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

貧困のため、子どもが十分な教育を受けられないことは最重要問題だ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2496)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年2月16日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2496)

ジョウビタキの雌(写真1)、カワラヒワ(写真2)、ツグミ(写真3)、ヒヨドリ(写真4)をカメラに収めました。ノシラン(写真5)、ユズ(写真6、7)が実を付けています。我が家では、ナツツバキ(写真13)が熟した蒴果と冬芽を付けています。

閑話休題、貧困のため、子どもが十分な教育を受けられないことは最重要問題だと、私は考えています。このことは、次世代、次々世代へと循環していくからです。そこで、何か具体的な対策が記されていないかと、『子どもの貧困とライフチャンス――イギリスの政策と議論に学ぶ』(子どもの貧困アクショングループ編、松本伊智朗監訳、松本淳訳、かもがわ出版)を手にしました。

「貧困は、子どもたちの生涯に悪影響を及ぼします。幼児期の発達、健康、心理、学業成績、寿命への影響が明らかです。人生における可能性が制限されることをさまざまな角度からとらえた本書では、なぜそういった可能性、すなわちライフチャンスが重要であるのかに注目します。そしてさらに、家族の経済的な資源が重要であることにも焦点を当てていきます」。

「逆境にもかかわらず健全に成長する子どもがいないわけではないにせよ、多くの子どもたちにとって貧困下で育つことはすなわち、不安な子ども時代、学校成績の低下、健康不良、孤立を意味する」。

子どものライフチャンスを改善する重要な要素として、8つの項目が挙げられています。●すべての子どもたちへの質の高い保育・幼児教育、●家族の適切な所得、●家計負担を抑えること、●住居・居住環境の改善、●家族への支援、●子どもの健康とウェルビーイングに効果的なサービス、●すべての子どもたちに効果のある教育システム、●おとなへの移行期の若者への支援。

いったいライフチャンス戦略というものがどういう形をとるべきなのか、いろいろと論じられているが、この面では先進的なイギリスにおいても、まだ明確な成果は得られていないことを知り、もどかしさを覚えました。