榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

晩年の毛沢東はALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っていた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2599)】

【読書クラブ 本好きですか? 2022年5月30日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2599)

招待されたEPS創業30周年記念式典に出席した帰り道、コンビニで5/31付(5/30発行)の日刊ゲンダイを購入しました。先日取材を受けたあれこれが平井康嗣副部長の手によって素敵な記事にまとめられているので、大感激! なお、四面を書棚で囲まれている書斎は、私の城館です(モンテーニュを気取っているわけではありませんが<笑>)。因みに、本日の歩数は11,237でした。

閑話休題、世界の40の謎に果敢に挑んだ『世界史を変えた40の謎――ルートヴィヒ二世からダイアナ妃まで』(ジャン=クリスティアン・プティフィス編、神田順子監訳、原書房)で、とりわけ興味深いのは、「張玉鳳――毛沢東の読唇者」です。

「毛(沢東)専用のお召列車の車掌であった張玉鳳は、しだいしだいに、彼の側女(そばめ)として重みを増すようになり、一種の家政婦頭、実質的には5番目で最後の妻になるまでにいたったのである。重い障害を負った暴君と、外部の世界との仲立ちとなったこの庶民の娘の驚くべき出世は、20世紀におけるもっともやっかいな謎の一つとなった」。18歳の張玉鳳は、否応なしに、齢70の毛沢東の愛人にされてしまったのです。

この論考から、いくつもの事実を知ることができました。

●晩年の毛はALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っていた。
●晩年になっても、毛の放縦な女性関係は収まらなかった。
●最晩年の毛は寝たきりで、その発音不明瞭な言葉は張にしか理解できなかった。ゆえに、張の重要性が増していった。
●張は、江青ら極左派と、鄧小平ら実権派のどちらにもつかないという姿勢を保とうとしたが、毛の後継者指名など、結果的に政局に重大な影響を及ぼした。
●1993年に、張は、「わたしは毛主席の最晩年の私設秘書であった」というタイトルの20ページ余りの、毛との親密な15年間の証言を中国共産党の理論誌「求是」に発表した。