榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

嫉妬深くて残忍な呂雉、曹操に警戒された司馬懿、功臣たちを誅殺した朱元璋――中国史は興味深いぞ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2879)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年3月5日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2879)

マンサク(写真1、2)、サンシュユ(写真3、4)、ギョリュウバイ(写真5)が咲いています。あちこちで、カワヅザクラ(写真6~13)が見頃を迎えています。

閑話休題、『一冊で分かる 中国史』(李泉著、渡邊英子訳、樹立社)のおかげで、長~い中国史を俯瞰することができました。

個人的にとりわけ興味深いのは、●嫉妬深くて残忍な呂雉、●曹操に警戒された司馬懿、●功臣たちを誅殺した朱元璋――の3人です。

●呂雉(漢の初代皇帝・劉邦の皇后)
「(劉邦の死後)15年間権力を握り続けた呂后は、陳平を丞相とし、秦朝の苛酷な法律を廃して生産の発展を奨励します。しかし嫉妬深くて残忍な呂后は、劉邦が寵愛した戚夫人を虐げて人彘(人間豚)にしたり、立て続けに3人の趙王を殺害したりしました。さらに少帝を廃し殺害して、漢王室に深刻な危機をもたらします」。

●司馬懿(晋の初代皇帝・司馬炎の祖父)
「(曹操は)太子の曹丕に対して、『司馬懿はとても才能が有るが、人の下に居たがらないので、将来必ず曹家の事業を破壊することになろう』と言います。司馬懿との交際が非常に密であった曹丕は、司馬懿父子が曹家の政権を簒奪しようなどとは心配しませんでした。それ故に、曹操の話をどこ吹く風と聞き流しました。建安13(208)年、曹操は司馬懿を丞相府文学掾にするものの、終始彼を重用することはありませんでした。ところが、曹丕が帝を名乗って以降、司馬懿は次第に重職に就いていきました。・・・咸熙2(265)年、(司馬懿の次男)司馬昭の息子の司馬炎が、魏帝を廃して自らを帝に立て、国号を晋とします」。

●朱元璋(明の初代皇帝)
「明が成立すると、朱元璋は功臣の殺戮をほしいままにし、普通の役人にまで累が及び、一旦それが起こると、殺される者は往々にして万人もの多きに達しました。・・・朱元璋は何故功臣の殺戮に躍起になる必要があったのでしょうか?・・・それを見るに忍びない太子の朱標がかくも多くの人を殺さないように父親を宥めますが、朱元璋は黙ったまま何も言いません。翌日、彼は故意に棘の杖を一本地面に投げ棄て、朱標にそれを拾わせようとしますが、朱標は拾おうとしません。朱元璋は一つの言葉に表面と裏面の二つの意味を込めながらこう言います。『お前は刺が恐いから敢えて手にしようとしないのだろう。私が今お前の代りに刺を全部抜いてしまってからお前に手渡す方がもっと良いのでは!』と言いました。実に彼はずばりと秘密を暴いてしまったと言うべきでしょう」。