榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

類人猿の祖先はかつて二足歩行をしていたという、驚くべき仮説・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2974)】

【読書クラブ 本好きですか? 2023年6月8日号】  情熱的読書人間のないしょ話(2974)

8日前には10羽いたカルガモ(写真1、2)の雛が7羽に減ってしまっています。この辺りを飛び回っているカラスに襲われたと思われます。ムクドリ(写真3、4)、ハクセキレイの幼鳥(写真5)、サトキマダラヒカゲ(写真6)、オオカマキリの卵鞘(写真7)をカメラに収めました。ビワ(写真8)が実を付けています。ザクロ(写真9)、ケムリノキ(スモークツリー。写真10)、タチアオイ(写真11)、ヒメヒオウギズイセン(写真12)、オオバギボウシ(写真13)、ワルナスビ(写真14)、ヘメロカリス(写真15~17)が咲いています。

閑話休題、『ヒトはどこからきたのか――サバンナと森の類人猿から』(伊谷原一・三砂ちづる著、亜紀書房)は、今西錦司の弟子・伊谷純一郎の息子の霊長類研究者・伊谷原一と、疫学者・三砂ちづるの対談集です。

いろいろと面白いことが語り合われているが、個人的にとりわけ興味深いのは、伊谷原一のヒトの起源についての独自の見解です。

●伊谷=彼ら(類人猿)の祖先は一度立ち上がっていた可能性がある。アフリカの類人猿の共通祖先がかつて二足歩行をしていたから、彼らもその歩き方を受け継いでのではないかと、観察していて思うようになったのです。●三砂=その共通祖先から、二足歩行だけを行うようになった種がヒトになり、何らかの理由で森に戻った類人猿がナックルウォーキングをするようになった、と。ずっと二足で歩いていたのが、突然四足歩行になることってないですものね。●伊谷=そう思います。ヒトとは違う何かが起きた。何が起きたのかはわかりませんが。

●三砂=類人猿も同じように一度立ち上がって、その後何かの必要があって四足歩行に戻ったのではないかと、伊谷さんは仮説を立てているのですね。●伊谷=ニホンザルなどのオナガザル科がやっている四足歩行は、アフリカの類人猿ももともとやっていたはずです。そこから何かのきっかけで立ち上がったやつがいた。そしてまた何かが起きて四足に戻ったときに、それまでの歩き方ではなく、ナックルウォーキングになった、そう考えられないかと思っているんです。

さらりと語られているが、これは、ヒトの祖先はナックルウォーキングを経て二足歩行へと移行したという、有力な仮説の一つである「ナックルウォーキング仮説」に対する勇気ある異論提出です。こういう仮説もあり得るのかと、びっくりしたのです。

なお、ヒトの直立二足歩行に至る経緯については、類人猿の行動をモデルにした垂直木登り説や非伏位型樹上行動説、森林から開けた環境への適応に基づく起立行動説、運搬行動説、温熱負荷説、エネルギー効率説など、数多くの仮説が出されています。

「どう考えても、森の中で生まれたサルが乾燥したひらけたところに出て二足歩行で歩くようになってヒトになった、なんておとぎ話にしか思えない。何の証拠もないし、たまたまイブ・コパンというえらい人類学者がそう言っただけ。大地溝帯が隆起して山ができて東側が乾燥して西側が湿潤化したというタイミングと、チンパンジーたちが誕生したタイミングが年代的にあまりにも違いすぎるんですよ」と、伊谷はあくまでも意気軒昂です。