三浦義村は謀略家か、それとも実直な人物か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3184)】
数羽のカケス(写真1~3)の群れに出会ったのに、今一つの写真しか撮れませんでした(涙)。シロハラ(写真4)、ツグミ(写真5)、カワラヒワ(写真6)、バン(写真7、8と9は別個体)をカメラに収めました。さくらと一郎の「昭和枯れすすき」ならぬ、令和の枯れススキ(写真10、11)です。因みに、本日の歩数は11,533でした。
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閑話休題、『三浦義村』(高橋秀樹著、日本歴史学会編、吉川弘文館・人物叢書 新装版)の著者が一番言いたいことは、「私たちは、三浦義村に対するかつての低評価やダーティーなイメージを捨てないといけない」というものです。
「三浦義村は、源実朝・尼御台所政子・藤原頼経という鎌倉の首長から絶大な信頼を寄せられ、北条義時・泰時親子と協調して、有力御家人の筆頭として(鎌倉)幕府政治を支えた。時政から義時への北条氏の代替わりと将軍実朝の安全確保は、政子の信頼を得ていた義村の知恵によって実現した。また、藤原道家子息の鎌倉殿推戴を提案し、承久の乱後は自ら後堀河天皇を擁立したわけであるから、承久の乱後の中世国家の枠組みは義村によってつくられたともいえよう。幕府の有力者というだけではなく、朝廷や貴族たちからも頼られる、朝幕関係における幕府側の顔だった。さらには九州の所領での日宋貿易を通じて、その目は海外にまで及んでいた可能性も高い」と、高評価を与えています。
永井路子の「実朝暗殺事件の義村黒幕説」に洗脳されてきた私にとって、本書が主張する「公暁単独犯行説」は由々しきことだが、如何せん説得力があります。「義村黒幕説は、義時と義村とは対立関係にあり、義村が京都の貴族(=藤原定家ら)にも知られた権謀家だったという前提に立ち、公暁と義村との事件前からの密接な関係を強調する。・・・義村と公暁とのつながりは実際には希薄であり、そのつながりの深さを根拠とする義村黒幕説が成り立たないことは明らかである」。
和田合戦の際の義村による和田義盛裏切り説も否定されています。「日頃より険悪な関係にあった義村兄妹と義盛とが挙兵前に内通していたはずはなく」、「義村にとって、和田合戦は、実朝を母政子と北条義時・義村らが支える幕府の体制を守るための戦だった。そのために、体制を揺るがそうとした同族和田義盛と臆することなく戦い、義盛軍に大打撃を与えた」。
稀代の謀略家と思い込んでいた義村が、「身分や秩序を重んじ、礼をわきまえた人物」だったとは! 少々がっかりしたというのが、私の偽らざる気持ちです。