これまで出会ったことのない、不思議な感じの詩集です・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3280)】
植物観察会に参加したが、講師の小幡和男先生の解説で植物の奥深い世界を垣間見ることができました。ソメイヨシノ(写真1)、ヤマザクラ(写真2)、カスミザクラ(写真3)、ソメイヨシノとヤマザクラの交雑種と思われる個体(写真4)、イロハモミジの雄花(写真5)、両性花(写真6)、実(写真7)、スギの雄花(写真8)、球果(写真9)、コクサギの雄花と雌花(写真10。左が雄花)、ムクロジの実(写真11)で作った笛を小幡先生を吹く場面(写真12)、イヌシデの雄花と雌花(写真13、右が雄花)、ニッケイとシロダモの葉(写真14、15。奥がニッケイ)を観察することができました。皆で噛んでみたが、ニッケイの葉はニッキ飴の味がします(写真16)。
閑話休題、小説を読む愉しみは、自分が歩んでいるのとは違う、もう一つの人生を味わうことだと、私は考えています。『山之口貘詩集』(高良勉編、岩波文庫)は詩集だが、同じ愉しみに浸ることができました。
●座布団
「土の上には床がある 床の上には畳がある 畳の上にあるのが座布団でその上にあるのが楽という 楽の上にはなんにもないのであろうか どうぞおしきなさいとすすめられて 楽に坐ったさびしさよ 土の世界をはるかにみおろしているように 住み馴れぬ世界がさびしいよ」
●食いそこなった僕
「僕は 何を食いそこなったのか! 親兄弟を食いつぶしたのである 女を食い倒したのである 僕をまるのみしたのである どうせ生きたい僕なんだから何を食っても生きるんだが 食えば何を食っても足りないのか いまでは空に背を向けて 物理の世界に住んでいる 泥にまみれた地球をかじっている 地球を食っても足りなくなったらそのときは 風や年の類でもなめながら ひとり 宇宙に居のこるつもりでいるんだよ」
●求婚の広告
「一日もはやく私は結婚したいのです 結婚さえすれば 私は人一倍生きていたくなるでしょう かように私は面白い男であると私もおもうのです 面白い男と面白く暮したくなって 私をおっとにしたくなって せんちめんたるになっている女はそこらにいませんか さっさと来て呉れませんか女よ 見えもしない風を見ているかのように どの女があなたであるかは知らないが あなたを 私は待ち侘びているのです」
これまで出会ったことのない、不思議な感じの詩集です。