歴史の動きを見誤らず重大な決断を下し、承久の乱に勝利した北条義時・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3303)】
婚姻色を呈しているアオサギ(写真1)、婚姻色を呈しているダイサギ(写真2、3)、カワウ(写真4)、セグロセキレイ(写真5)をカメラに収めました。セイヨウカナメモチ(レッドロビン。写真6、7)、ヤセウツボ(写真8)が咲いています。水遣りをしていた我が家の庭師兼撮影助手(女房)が駆け込んできて、サツキの脇の塀に見慣れない青いハチがいるわよ、と言うので、カメラを持って急行。おかげで、ルリチュウレンジ(写真9~11)を撮影することができました。クレマチスが見頃を迎えています。
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閑話休題、『小説集 北条義時』(海音寺潮五郎ほか著、作品社)に収められている『承久の乱――北条義時の場合』(永井路子著)は、小説の形を取っているが、史実に基づいているので、謎の多い北条義時という人物を知るのに最適な作品です。
鎌倉幕府3代将軍・源実朝が甥の公暁に暗殺されてから数カ月のうちに、俄に東(鎌倉幕府)西(朝廷)両国の緊張は極度に高まります。後鳥羽上皇から、寵姫に与えていた長江、倉橋両荘の地頭を交替させよという無理難題を突き付けられ、北条義時は重大な決断を迫られたからです。
この申し入れを義時がぴしゃりとはねつけたため、怒った後鳥羽が義時追討の院宣を発して承久の乱が起こるのだが、永井路子は、「彼(義時)は筋を通した。歴史の動きを見誤らず、一つの、しかし多分に危機を伴うかもしれぬ決定を敢えてした。政治とはそういうものではないだろうか」と、義時を高く評価しています。単なる妥協は決して政治ではない、そのほうが当事者の保身に有利だというだけでなされた妥協であればなおさらだ、政治とは最終的に選択ではないのか、それも生命を懸けた選択ではないのか――と、永井は考えているのです。
あっという間に東国軍が西国軍を圧倒し、仲恭天皇が廃され、後白河、順徳、土御門の3上皇が配流されるというショッキングな結末を伴って承久の乱が終わりを告げたことは、よく知られています。
義時、後鳥羽の人物評価を超えて、政治とは何かを考えさせる短篇、現在の政治家たちに読ませたい短篇です。