榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

腎透析患者を救う修復腎移植への道を潰したのは誰か・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2248)】

【読書の森 2024年6月11日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3348)

キジバトの雄が交尾しようと雌に迫るが、拒否されてしまいました(写真1、2の右が雄。写真3の左が雄)。セイヨウキョウチクトウ(写真4~7)、カシワバアジサイ(写真8)、ルドベキア・ヒルタ(写真9~11)、ハルシャギク(別名:ジャノメソウ。写真12、13)が咲いています。

閑話休題、『移植医 万波誠の真実――閉ざされた修復腎移植への道』(麻野涼著、えにし書房)には、3回も強烈な衝撃を受けました。

第1の衝撃は、2006年、万波(まんなみ)誠と瀬戸内グループの医師らが行った修復腎移植へのバッシング報道により、万波は摘出する必要のない腎臓を患者から奪って移植する、がんなどに罹患した腎臓までも移植してしまう恐ろしい医師というイメージが社会に浸透したが、実際の万波は、腎透析という厳しい状態に置かれている患者たちを救おうと奮闘した医師だったこと。

万波が亡くなったのは2022年10月14日、81歳でした。生涯に手がけた腎移植は1800例を超えており、これは日本どころか世界でもトップ・クラスです。患者らが主催した「送る会」では、古くから付き合いのある患者が「万波先生は、土曜も日曜日もなく病院にきていて、病院が先生の家のようだった」と思い出を語りました。患者のことだけを考えて、最後の瞬間まで現役を貫いた医師だったのです。

第2の衝撃は、腎移植を希望する患者が多いのに提供される腎が極端に少ない状況下で、世界各国では修復腎移植も積極的に実施されていること。

腎不全に陥った患者を死から救う対症療法が人工透析療法だが、患者にとっては辛い療法です。根治的治療は腎移植しかないが、移植用の腎臓は圧倒的に不足しています。そこで、摘出された腎臓のがん部分を切除した腎臓を移植する修復腎移植が安全性を確認したうえで行われるようになったのです。世界の流れに目を向ければ、修復腎移植は積極的に進められているのは明らかです。

第3の衝撃は、日本で修復腎移植が非難され、その道が閉ざされてしまったのには、腎透析で稼ぐ医師たちが患者を腎透析に繋ぎ止めておきたいという意向が濃厚に反映していること。

海外では修復腎移植が積極的に進められているのに、日本では強い抵抗を受けているのはなぜか。障害者として認定された透析患者の医療費は全て国庫から支出され、それは2兆円市場と囁かれています。病院を経営する側としては、透析患者を多数抱えたほうが病院の安定経営に繋がるからです。