パリ郊外の城を舞台に、20世紀末と18世紀の快楽を巡る悲喜劇が露悪的に描かれた作品・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3481)】
【読書の森 2024年10月20日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3481)
千葉・我孫子の谷津ミュージアム見学会に参加しました。スズメウリ(写真3、4)、ミツバアケビ(写真5、6)、イシミカワ(写真7)が実をつけています。熟れたミツバアケビは美味でした(写真6)。コバネイナゴ(写真8)、ホシハラビロヘリカメムシ(写真9)をカメラに収めました。
閑話休題、敬愛する豊﨑由美の「若い貴族と貴婦人の一夜のアバンチュール。世紀を飛び越え、過去と現在が呼応する」という書評に唆され、『緩やかさ』(ミラン・クンデラ著、西永良成訳、集英社文庫)を手にしました。
パリ郊外の城を舞台に、20世紀末の出来事と18世紀の出来事が交錯します。
快楽を巡る悲喜劇が、引用を躊躇わせるほど露悪的に描かれていきます。
ミラン・クンデラがこの小説を通じて言いたかったのは、情事も含め、何事も、もっと緩やかにいこうよ、ということのようです。正直に言うと、私には、もう一つ理解できないというか、好みに合わないというか、ともかく、そういう作品です。
しかし、世の中には、こういう作品もあっていいと思います。著者の伝えたいことが明確に分かる作品ばかりでは面白くありませんから。「緩やかな」気持ちでそう考えることにしました。