文房具の殿堂・伊東屋で野菜を栽培しているって本当?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3606)】
かつての仕事仲間・飲み仲間の田代伸郎(しんろう)さんの生前葬に出席しました。人脈の広い田代さんだけに90名近くが一堂に会し、明るく賑やかな催しでした。長老の立道肇さんの献杯ならぬ乾杯の音頭、趣味仲間の清水国明氏のスピーチ、田代さん自身のプロ級の歌唱など、大いに盛り上がりました。私は、田代さんの名前を詠み込んだ短歌「誰(たれ)からも 慕われし人 論が立ち 信頼篤く 朗々とゆく」を手向けました。
閑話休題、文房具の殿堂・伊東屋で野菜を栽培しているって本当ですか? 東京・銀座の伊東屋は、私が長く務めた三共(現・第一三共)本社の隣だったので、しょっちゅう訪れたものです(現在、第一三共銀座ビルにはブルガリ銀座タワー本店が入居)。1984年に日本に上陸した英国製システム手帳「ファイロファックス」(ルースリーフ式で縦18.5cm、横12.5cm、厚さ4cmのバイブル・サイズ)を、早速、当時としては高額な36,000円で購入したのも伊東屋でした。
『銀座 伊東屋の仕事――文房具専門店クロニクル』(間部香代著、グラフィック社)は、伊東屋の明治~令和の年代記です。日本の文房具、文房具店の歴史を概観することができます。
「伊東屋ならではの心躍る商品、ここでしか体験できないサービス。それらを堪能したり、のんびりと目の保養をしたり、知的好奇心を満たしたり、過ごし方はそれぞれだが、みな、じつに楽しそう」。文房具好きには堪らない別天地です。
「近年は、自分仕様にカスタマイズできるシステム手帳の売り場が熱く、昭和の大ブームのころに男性が仕事で使っていたのとは対照的に、主に女性が趣味の分野でフル活用」。昭和の大ブームのころの男性とは、まさに私たちを指しています。その時のファイロファックスは。40年経った現在も役立っています。
11階では水耕栽培でレタスを育てており、12階のカフェでは、それらのサラダも食べられるとのこと。そのカフェは、大きなテーブルにパソコンを広げたり、降り注ぐ光を眺めながらアイディアを練ったりできる、知る人ぞ知る穴場の空間とのことです。