榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本書のおかげで、読むべき5著作が見つかりました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3795)】

【読書の森 2025年8月13日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3795)

ハス(写真1)が頑張っています。クサギ(写真2)が芳香を漂わせています。ボタンクサギ(写真3)、ヤマモモソウ(別名:ハクチョウソウ、学名:ガウラ・リンドヘイメリ。写真4、5)、グラジオラス(写真6)が咲いています。我が家では、アサガオ(写真7、8)が咲いています。因みに、本日の歩数は11,807でした。

閑話休題、『昭和史の名著と人物――後世に残したい』(保阪正康著、山川出版社)のおかげで、読むべき5著作が見つかりました。その上、詳しくは知らない人物5人に対する目を開かせてくれました。

●『戦艦大和ノ最期』(吉田満著)
海の戦記文学の最高峰。日本海軍のシンボルともいえる巨大戦艦が悲壮な特攻出撃に出て沈没するまでに、艦内で起こっていたさまざまな人間ドラマや著者の心理描写に圧倒され、涙なくしては読めない。立花隆も「昭和の『平家物語』」だと評価している。

●『昭和史発掘(全9巻)』(松本清張著)
とりわけ注目すべきは、昭和期のターニング・ポイントとなった二・二六事件の解剖を初めて徹底的に行っていること。作家による歴史の記録という意味で、本書の右に出るものはない。

●『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著)
高校生に、あの戦争までの道のりを、史料を豊富に示しながら語るという体裁で、非常に分かり易くまとめられている好著。

●『失はれし政治(近衛文麿公の手記)』(近衛文麿著)
近衛文麿は反省すること頻りだが、「軍人たちにゴリ押しされた」、「軍がいうことをきかない」などと弁明ばかりで、首相としての主体性が感じられない。悪かったことは全部他人のせいにしているとしか読めない、誠に残念な回想録。

●『回想十年(全4巻)』(吉田茂著)
占領下の政治の実態について書き残さなければならないという強い使命感が著述の動機となっている。敗戦によって、それまで鬼畜米英を叫んでいた者が一転してダグラス・マッカーサーに媚びへつらうという動きが見られる中で、吉田茂という政治家の信念は全く揺らがず一貫している。戦後日本の原点を知る上で非常に貴重な回想録。

●中野正剛――戦時下で東條英機を批判し割腹自殺

●南原繁――吉田茂の「曲学阿世の徒」発言に猛反論

●深井英五――歴代で最も知性が高いと評された日銀総裁

●水野広徳――第一次世界大戦の悲惨さを見て反戦を唱えた軍人

●宮武外骨――戦時下でも軍部を嗤い続けた反骨の人