インドがロシアとの関係を切れないのはなぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3895)】
イチョウ(写真1)が黄葉、イロハモミジ(写真2~5)が紅葉しています。トチノキ(写真6)が落葉しています。ヤマトシジミの雄がセイタカアワダチソウで吸蜜しています(写真7、8)。マガモの雄と雌(写真9、最後尾が雌)、アオサギ(写真10)をカメラに収めました。我が家の庭では、キク(写真12)が咲いています。













閑話休題、『インドの野心――人口・経済・外交――急成長する「大国」の実像』(石原孝・伊藤弘毅著、朝日新書)は、現在のインドの実像を知るには最適な一冊です。
著者は、本書で紹介できたのは、14億人超が暮らす巨大な国インドの断片に過ぎないと謙遜しているが、インドに対する認識を一新することができました。
個人的に、とりわけ興味深いのは、●「圧力鍋」くぐり抜ける子どもたち、●インド系人材、IT企業のトップに、●切れないロシアとの関係――の3つです。
●「圧力鍋」くぐり抜ける子どもたち
インドの15歳未満人口は約3億6000万人と、総人口の約25%を占めている。日々の学業の成績や受験、就職試験など、若年層は「圧力鍋」とも言われる競争社会とプレッシャーに向き合う必要がある。・・・トップ校に進学することは、本人の夢だけではない。家族はもちろん、村中の期待を背負うこともある。・・・一握りの若者がチャンスをつかむ一方、成績が伸びずにプレッシャーに耐えられなくなる生徒もいる。なかには、親に試験の点数を隠し、自殺する子どもたちまでいる。
●インド系人材、IT企業のトップに
インド系人材の進出が際立つのが経済界だ。グーグル。マイクロソフト、アドビ、YouTube・・・。米国の名だたる大企業の最高経営責任者(CEO)に就いている。親や祖父母がインド出身の2世、3世もいるが、インド国内の大学を卒業した後に米国留学し、チャンスをつかんだ経営者も多い。インドの若者たちが憧れる象徴的な人物が、米グーグルのスンダー・ピチャイCEOだ。南インドのチェンナイで育ったピチャイ氏は、コンピューターやインターネットとは無縁で育った。・・・2004年にグーグルに入社したピチャイ氏は、ウェブ閲覧ソフト「クローム」を世界首位のブラウザーに押し上げるなどした成果が買われ、2015年に43歳でCEOに就いた。「アメリカン・ドリーム」、もしくは「インディアン・ドリーム」をかなえていく姿は、インドに住む若者たちの憧れとなり、「自分もなれるはずだ」との自信を植え付けた。
●切れないロシアとの関係
インド政府関係者は、インドが直面する安全保障環境の現実を率直に語ってくれた。「中国がインドの領土を攻めてきても、米国や日本が助けに来てくれる保証はない。長年の友好国であるロシアとの関係をいますぐに悪化させるのが得策だとは思わない」。
