自分が中央アジアの5か国を旅行しているかのような気分にさせてくれる本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3913)】
運よく、今日もタシギ(写真1~5)に出会うことができました。キセキレイ(写真6~10)、ススキの芒(のぎ。写真11)、紅葉したイロハモミジ(写真12)、涸れた池(写真13)をカメラに収めました。我が家の庭師(女房)から、マンリョウ(写真14)が実を付けているわよ、との報告あり。















閑話休題、『中央アジア紀行――ぐるり5か国60日』(白石あづさ文・写真、辰巳出版)は、自分も中央アジアの5か国を旅行しているかのような気分にさせてくれます。
その5か国とは、ロシアの南、中国の西のカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスです。著者は、これらの国々には、どんな歴史があり、どんな人々が暮らしているのかを知りたくて、24年ぶりに再訪したのです。
「古代から遊牧民と定住民が混在し、紀元前からシルクロードの重要な拠点だった中央アジア。その歴史をなぞると戦争と破壊と再生と繁栄の繰り返しである。8世紀以降にイスラム教が広まり、13世紀にモンゴル帝国の支配下となり、14世紀にティムール帝国が興り繁栄。19世紀後半にはロシア帝国が支配を強めると工業化やロシア語の普及が進み、ソ連時代を経て各国は1991年に次々と独立を果たした」。
カザフスタンは草原の広がる石油が豊富な国、ウズベキスタンは美しい遺跡が残るシルクロードの中心地、キルギスは遊牧文化が今も息づく山岳国で酪農が盛ん、トルクメニスタンは独裁色の強い沙漠の国で天然ガスの宝庫、タジキスタンはトルコ系民族が中心の中央アジアで唯一イラン系民族が多数を占める国です。
個人的に、とりわけ印象に残ったこと――
●カザフスタンは「白い熊」(隣接するロシア)を恐れている。
●ウズベキスタンは24年前はトタン屋根の古い家に道は埃っぽくて街路樹も少なくゴミだらけだったが、今は高層ビルが建ち並び、美しい公園に緑溢れる近代都市に生まれ変わっている。
●トルクメニスタンのダルウァザという小さな村の「地獄の門」(砂漠の燃える穴で直径70m以上ある)の美しさは息を呑むほどだが、周辺の生態系の悪化に繋がるとして、政府が閉鎖すると発表したらしい。トルクメニスタンには金毛が金色に輝く黄金の馬がいる。
●タジキスタンのヤグノブ峡谷には、歴史から消えた幻の民族と言われるソグド人の末裔のヤグノブ人が住んでいる。
●キルギス人は日本人に顔が似ている。キルギス人が日本人に会うと必ず話す伝説とは、「キルギス人と日本人はかつてシベリアで暮らしていた兄弟で、肉好きはキルギスへ、魚好きは日本に行った」というもの。
「景色も遺跡も文化もいいけれど、中央アジアが誇る一番の魅力は人。よく笑っておおらかで、話すのも食べるのも好きで、もてなし好き。でもちょっといい加減でおせっかいな・・・」という著者の言葉が頷ける一冊です。
