榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

なぜ、東芝は上場廃止に追い込まれたのか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3997)】

【読書の森 2026年2月22日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3997)

ウメ(写真1~9)、シダレウメ(写真10~14)が芳香を放っています。多数のメジロ(写真7~9)が吸蜜しています。

話休題、『東芝 転落の深層――経営不祥事と裁判』(久保誠著、朝日新聞出版)は、なぜ、東芝は上場廃止に追い込まれたのかという問いに、執行役財務担当だった当事者自身が答えを出そうとしたという意味で、稀有な一冊です。

●2023年12月20日、東芝は上場廃止となった。株式上場74年の歴史に幕を下ろした。1875年に創業し、以来150年となるが、これが東芝の歴史上最大級の出来事=不祥事の一つであることは間違いないだろう。

●上場廃止の直接のきっかけは、2006年に買収した米国原子力発電機器メーカー・ウェスチングハウス社(以下、WEC)の経営の失敗である。そして経営の失敗=工事パートナー会社の買収失敗に大きな影響を与えたのは、2015年に発覚した「東芝不適切会計」への曖昧な対応である。

●「東芝不適切会計」では、当時の社長3人と私を含む執行役財務担当2人の5人が東芝から訴えられた。東芝から訴えられた5人は歴代3社長・西田厚聰
氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏、執行役財務担当2人は私・久保誠と前任の村岡富美雄氏である。

●東芝が上場廃止となった最大の原因であるWEC案件は、裁判でも第三者委員会報告書においても一切核心が明らかになることはなかった。むしろ東芝や第三者委員会がWEC案件の巨額な工事損失を表沙汰にしないようにしたとすら思える。

●西田氏も佐々木氏も会社を踏み台にして自分の名誉欲を満足させることに大半のエネルギーを費やしていたとしか思えない。すなわち会社の最高権力者である社長が、社業に専念し会社のために何をすべきかより、自分の名誉欲を優先し、そのために横暴かつ無謀な経営をしたことが東芝で起こった様々な不祥事の原点にあるのではないかと強く思う。

企業経営に一石を投ずる告発の書です。