本書を読んで、町の小さな本屋が急速に消えていっている理由が分かった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1746)】
ニホンズイセンが白い花を、キズイセンが黄色い花を、ボケが濃桃色の花を咲かせています。パンジーが整列しています。ノシランの青い実が輝いています。ボタンの若木たちが藁で作った雪囲いで守られています。因みに、本日の歩数は10,294でした。
閑話休題、『13坪の本屋の奇跡――「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年』(木村元彦著、ころから)には、大阪・谷六(たにろく)の僅か13坪の本屋「隆祥館書店」の70年に及ぶ歴史と、厳しい現状が綴られています。
本書を読んで、多くの小さな「町の本屋」が急速に消えていっていること、その背景――●本が売れないから、●取次(問屋である取次会社)から売りたい本が送られてこないから、●取次からいらない本が送り付けられてくるから――が見えてきました。
「正直、何度も小さな書店はもうあかん、と投げやりになりかけたこともある。ベヅトセラーはほとんど回って来ない。必死に刊行前の良書を探し出して紹介しても美味しい所は結局アマゾンに取られてしまう。悲しいかな、この流れはもう変わらないだろう。それでも、これは薦めたいと思える本を探して行こう。たとえ自分の店で売れなくても読者が増えること、それもまた本屋の使命ではないか。いつかまた自分のところに良いことが回ってくるに違いない」。
「売りたいと思う本が入手できない悔しさ。一方で、注文をしなくても大量に本が送られて来る辛さがあった。(父・二村)善明が、『次はこれの問題をやらないとあかん』と言っていた見計らい配本のシステムである」。
「一方的に送られてくる本の中には、私たち隆祥館書店としては売りたくない差別を扇動するヘイト本やお客様から見てニーズの無い5年も前に出た本などが多く含まれています。そういう本も送られて来た以上は書店は、即請求され、入金をしないといけないのです。一方で本当に売りたい本、欲しい本は発注してもタンク配本という制度によって送ってもらえないという現状があります。大型書店が優先されて小さな書店は、例えばその売りたい作家の本の販売実績がどれだけあっても後回しにされてしまうのです」。
取次が、日販とトーハンの2社の寡占状態であることも、本書で知りました。
私のような町の本屋大好き人間にとっては、見過ごすことのできない一冊です。