榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

福澤諭吉の『学問のすすめ』から学べること・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2267)】

【読書クラブ 本好きですか? 2021年6月27日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2267)

ハス田で、ハスが咲き始めました。

閑話休題、『図解 学問のすすめ――カラリと晴れた生き方をしよう』〈齋藤孝著、ウェッジ〉は、福澤諭吉の『学問のすすめ』から「社会とのつきあい方」、「学問とのつきあい方」、「他人とのつきあい方」、「自分とのつきあい方」を学ぼうという試みです。

「慶應義塾を創設した福澤諭吉は、すっきりとした前向きな人間でした。頭もすっきり、心もすっきり。その根底には精神の文化があります。強い精神、前に進んでいくという精神の強さがある。そして、身体も鍛えられていました。そのうえで学問をすすめていますから、福澤諭吉の根底にある気質とかスタイルというものをよく見てほしいと思います。下を向いて鬱々としているのではなくて、『カラリと晴れた精神で、上機嫌で、明るく物事をとらえていこう』、そして『必要なことは積極的にやっていこう』という考え方です。こうした福澤諭吉の根本精神は、『学問のすすめ』にもよく表れています」。

中学1年生の時、社会科の大森良治先生から読書会に誘われ、1年間かけて、『学問のすすめ』(岩波文庫)の原文を少しずつ読み進めていったことを、懐かしく思い出しました。

齋藤孝が挙げているポイントのうち、とりわけ印象に残ったのは、下記の7つです。

●政府を恐れず、不都合があれば訴えよう。

●政府は国民のレベルに合ったものになる。

●自分の自由と他人の自由がぶつかるとき。
<自由と我儘との界は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり>(自由とわがままの境目というのは、他人の害となることをするかしないかにある)。

●弱い者の権利を踏みにじってはならない。

●嫉妬はどこから来るのか。
<およそ人間に不徳の箇条多しといへども、その交際に害あるものは怨望より大なるはなし>。<他の有様によりて我に不平を抱き、我を顧みずして他人に多を求め、その不平を満足せしむるの術は、我を益するにあらずして、他人を損ずるにあり>。<怨望はあたかも衆悪の母のごとく、人間の悪事これによりて生ずべからざるものなし>。「猜疑、卑怯、策略、暗殺、内乱・・・世の中のすべての悪事は、嫉妬心から生まれる」というのです。

●これまでの人生を総チェックしてみよう。

●物やお金に支配されないようにしよう。