美術館で大事なのは、その絵を自分の目で見て「好きだ」と思うかどうかだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3278)】
東京・三鷹~杉並の神田川沿いを巡る散歩会に参加しました。久我山稲荷神社では、ソメイヨシノ(写真2)が咲き、ムクロジ(写真3、4)が実を付けています。第六天神社では、明和8(1771)年銘の石造り狛犬が鎮座しています。神田川沿いではソメイヨシノ(写真8~11)が見頃を迎え、カリン(写真12)が咲いています。神田川では、レッドリスト種のナガエミクリ(写真13)が自生しています。因みに、本日の歩数は16,941でした。
閑話休題、『人生が楽しくなる世界の名画150――出口治明学長が語る』(出口治明著、星海社新書)の著者は、「無類の絵画好きである僕が、西洋美術の名画の好きなところを語っていきたい」と述べています。
例えば、ヨハネス・フェルメールの「牛乳を注ぐ女」については、こんな風に語っています。「『牛乳を注ぐ女』では、フェルメール絵画にくりかえし登場する質素な身なりの低級家事使用人が描かれています。台所担当の召使い(キッチンメイド)か、家政婦(メイド)でしょう。固くなったパンに牛乳を注いでいる彼女が、今にも『ごはんですよ』と言い出しそうに感じます」。
ウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は、こう説明されています。「『民衆を導く自由の女神』は美術的にもよくできていますが、おもしろいのは、これはルイ・フィリップを国王に立て、議会制民主主義に体制変更した七月革命を描いた絵だということです。でも今この絵を見る多くの人は、おそらく1789年のフランス大革命を想像します。バスティーユ牢獄襲撃の場面だと思ってこの絵を見ている人が少なくないのではないでしょうか。では『ドラクロワがフランス革命を描いた絵』という理解は間違っているのか。そうとも言えません。というのもフランスでは1789年以来、何度も何度も体制が崩壊し、何十年もかけて、1848年の二月革命で国王がついに完全にフランスからいなくなり、共和国になった。そのときフランス革命がついに終わったわけです。つまり1789年から1848年までの長い期間がフランス革命だったと考えれば、七月革命の際に描かれたこの作品を『フランス革命を象徴する作品』と呼んでも間違いではないとも言えます」。
ピーテル・ブリューゲルの「雪中の狩人」は、絶賛されています。「『雪中の狩人』は、ブリューゲルの作品でもっともよく知られています。ブリューゲルは子どもや農民などの民衆の絵から歴史画、風景画、複製版画まで手がけた作家ですが、ここでは雪の中の狩人たちを描いています。構図がしっかりしていて、僕はブリューゲルでこれが一番好きです。・・・『雪中の狩人』は人にしても何にしても要素が少なく、絵として一番まとまっていると思います。たとえば、画面右上に黒い鳥が飛んでいますね。これがいなかったとしたら、画面右上の部分がすごく淋しくなるでしょう。この鳥は決して大きくはないけれども、絵全体のバランスを考えて配置されています。左下の森には狩りをしている人たちの一団がいて、まずここに目がいきます。そこから彼らの視線の先をたどっていくと鳥がいて、さらに右上の遠景にある山々が目に入ってくる。左下から右上に視線が直線的に伸びるようになっています。鳥はその視線誘導の役割も果たしている。天才的な配置ですね」。
「牛乳を注ぐ女」、「民衆を導く自由の女神」、「雪中の狩人」は、私も大好きな作品です。