首都圏直下型、東海、東南海、南海地震は確実にやってくる・・・【続・リーダーのための読書論(4)】
【ほぼ日刊メディカルビジネス情報源 2011年6月20日号】
続・リーダーのための読書論(4)
5年前に東日本大震災を予言
5年前に東日本大震災の悲惨な被害を予言していた本がある。『巨大地震の日――命を守るための本当のこと』(高嶋哲夫著、集英社新書)では、「津波の恐ろしさ」、「万を超す遺体」、「原発は大丈夫か」、「炎上する石油タンク、ガスタンク」、「液状化現象と地盤沈下」、「乱立する組織と委員会」がきっちりと指摘されている。
巨大地震の危険性
首都圏直下型地震に襲われた時の「より危険な地下鉄」、「『死のトンネル』だらけの高速道路」、「地下街も安全ではない」、「数えきれない火災の被害者」には、身の毛がよだつ。
巨大地震時に地下鉄がうまく非常停止したとしても、乗客はトンネル内に取り残され、闇の中に放り出される。火災が起こったら、煙が充満し、酸欠になる。有毒ガスの発生も考えられる。各駅では乗客が一斉に出口に向かい、パニックが起こる。
さらに恐ろしいのは、浸水だ。川や海に近い地下鉄で地下トンネルが破壊されたら――僅かな亀裂でも強烈な水圧がかかり、東京湾に続く川の水が一気に流れ込んでくる。その水は東京の地下を網の目のように走る地下鉄全線に流れていく。そして地下鉄は地下街とも繋がっているのだ。
日本列島の宿命
海溝型巨大地震の潰滅的な破壊力は、東日本大震災で思い知らされたとおりである。東海、東南海、南海地震といった海溝型巨大地震は、いつ起こっても不思議ではない。その根拠は、①日本列島の宿命ともいうべき海溝型地震の発生メカニズムと、②歴史に基づく統計学上の事実――である。日本列島は定期的に巨大地震と津波に襲われてきたのである。
日本列島に住む私たちは、覚悟を決めて防災と減災に取り組むべきなのだ。