榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

一生困らない資産を築くためのシンプルな方法とは・・・【MRのための読書論(223)】

【ミクスOnline 2024年7月26日号】 MRのための読書論(223)

一生困らない資産を築く

一生困らない資産を築くためのシンプルな方法を知りたいならば、『サイコロジー・オブ・マネー―― 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(モーガン・ハウセル著、児島修訳、ダイヤモンド社)を読むべきだ。

著者の教え

①物事がうまくいっているときには慎重に、うまくいかないときには寛容に。自分や他人を評価するときは、「何事も、見かけほど良くも悪くもない」と肝に銘じよう。運とリスクの存在を認めれば、自分がコントロールできることだけに集中しやすくなる。

②エゴを減らせば、豊かになれる。貯金とは、「収入からエゴを差し引いたもの」である。どれだけ稼いでも、そのお金を今日、今この瞬間を楽しむことばかりに使ってしまえば、富は築けない。

③「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし。重要なのは、「この方法で投資をすれば、私は安心して眠れるだろうか?」と自問することだ。

④投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること。運やリスクをなくすことはできないが、時間をかければかけるほど望む結果が得やすくなるのは確かである。

⑤うまくいかないことがあっても問題ないと考える。半分は間違っていても、資産は増やせる。なぜなら、結果の大部分をもたらすのはごく少数の投資だからだ。

⑥自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う。自分の時間をコントロールできないことほど、幸せを強力に妨げるものはない。ファイナンスの世界がもたらす最高の配当は、好きなことを、好きなときに、好きな人と、好きなだけできることだ。

⑦他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう。

⑧貯金をする。ただ貯金する。貯めるのに特別な理由は必要ない。人生では、最悪のタイミングで予期せぬ出来事が起こり得る。目的のない貯蓄は、そのリスクに対する備えとなる。

⑨成功のために必要な代償を見極め、それを支払う準備をする。

⑩「誤りの余地」を何よりも大切にする。将来、何が起こるかわからないと想定しておくことで、予想外の出来事に耐えやすくなる。この耐久力があるからこそ、時間をかけて資産を運用でき、魔法のような複利の効果を享受できるようになる。

⑪極端な経済的判断は避ける。

⑫リスクを好きになること。リスクは、時間の経過とともに利益を生む。ただし、身を滅ぼすようなリスクには細心の注意を払うべきだ。

⑬自分がしているゲームを明確にする。自分とは別のゲームをしている人に影響されないように気をつけること。

⑭多様な意見を認める。賢く、情報に精通し、理性的に思考する人々でも、お金の問題については意見を異にすることがある。ファイナンスに関しては、唯一の正解はない。自分にとって有効な答えがあるだけだ。

著者の望み

著者の「私が望んでいるのは、毎朝、『今日も、家族と私は、自分の好きなことを好きなようにできる』と実感しながら目覚めることだ」、「真の成功とは、ラットレースから抜け出して、心の平穏のために生きることである」という言葉が胸に沁みる。

著者の投資法

巻末で、著者自身の投資法が明らかにされている。「私は、長年の試行錯誤の末に、『低コストのインデックスファンドに数十年かけて一貫して投資し、下手にいじることなく複利で運用すれば、私たち家族の経済的目標をすべて達成できる可能性は高い』と考えるようになった」。