榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

結婚の3週間後に愛妻が落馬して死んでしまったのは、ジプシーの呪いか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2072)】

【読書クラブ 本好きですか? 2020年12月15日号】 情熱的読書人間のないしょ話(2072)

イチゴノキ(写真1)、キク(写真2)、キダチアロエ(写真3)が花を咲かせています。セイヨウヒイラギ(写真4、5)が実を付けています。ミツバツツジ(写真6)が紅葉、ラクウショウ(写真7~9)が黄葉しています。ラクウショウの気根(呼吸根)は木製の地蔵のようです。

閑話休題、『終りなき夜に生れつく』(アガサ・クリスティー著、乾信一郎訳、早川書房・クリスティー文庫)は、著者のアガサ・クリスティー自身が気に入っていた作品だけあって、ストーリー展開の巧みさに引きずり込まれ、一気に読み通してしまいました。なお、本作品には。エルキュール・ポアロもミス・マープルも登場しません。

イギリスの小村の海を臨む「ジプシーが丘」で、「ぼく」マイケルは美しい女性・エリーに出会い、たちまち恋に落ち、誰にも知らせず結婚してしまいます。ぼくはイギリス人のしがない元運転手なのに、エリーはアメリカの大富豪の娘で、莫大な遺産の相続人なので、エリーの一族が二人の結婚を許すはずがないからです。一族内で孤立しているエリーの味方は、グレタというエリーの世話係だけです。莫大な遺産を巡って、エリーの継母コーラ、叔父フランク、従兄弟ルーベン、後見人アンドリュー、財産管理人スタンフォードら、一癖も二癖もある連中が蠢いています。

この「ジプシーが丘」は、不気味なジプシーの老女が、呪われた土地だ、ここに住む者は不幸になると予言した場所です。それでも、僕とエリーは、ここに豪壮な邸を建て、住み始めます。

しかし、幸せな日々は長くは続きませんでした。二人が「ジプシーが丘」で暮らし始めて3週間後、趣味の乗馬に出かけたエリーが、落馬して死んでしまったからです。

いったい、21歳のエリーに何が起こったのか。ジプシーの呪いによるものか、単なる事故か、あるいは、何者かの仕業か――謎が謎を呼びます。

そして、最後の最後に至って、信じられない真実が明らかになります。