榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

著者が目指す「生きものとしての農業」とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3577)】

【読書の森 2025年1月19日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3577)

ルリビタキの雌(写真1)、スズメ(写真2~4)、ムクドリ(写真5)、ツグミ(写真6)、キジバト(写真7)、コサギ(写真8~10)、ダイサギ(写真11)、アオサギ(写真12)、キノコ(写真13)をカメラに収めました。

閑話休題、『人類はどこで間違えたのか――土とヒトの生命誌』(中村桂子著、中公新書ラクレ)は、著者が提唱する生命誌――宇宙史、地球史、生命史(人類、ホモ属、サピエンス史、認知革命、農業革命、都市革命、精神革命、科学革命、産業革命)を包含する――の観点から、ホモ・サピエンスの歴史を辿っています。

それらを概観した上で、著者は、土の重要性に着目し、「生きものとしての農業」を目指そうと呼びかけています。農業革命会から始まったサピエンスとしての歴史を見直そうというのです。

「(21世紀の)農耕は、自ずと土の力を生かすものになるはずです。土についてよく知り、そこで育てる動植物についての研究を進め、つくる人、食べる人共に豊かさを感じられる暮らしを生み出すと共に、動植物たちも生きものとして生き生きと存在する姿を見せている状態を思い描きます。『生きものとしての農耕』です」。

著者の現在の農業などに対する危機感は理解できるが、正直に言うと、著者が目指すものが漠然としていて、明確な像を結ぶに至っていない憾みが残ります。